プラネテス #11 バウンダリー・ライン
南米の小国、エルタニカはエリート管制官クレアの故郷である。彼女は内戦の続く祖国から子供の頃にアメリカに亡命し、苦学の末に宇宙のエリートへとのし上がったのだ。そのエルタニカから技術者・テマラがやってくる。彼はエルタニカ独自の宇宙服を開発し、その売り込みに来たのだ。クレアは宇宙服のテストのために尽力することになるが、 TECHNORA社内は開発途上国の技術を馬鹿にする雰囲気が大勢を占めていて……
テーマとしては、「経済大国のエゴ」でしょうか。まぁ金持っている奴が強いのはこの世の常ではありますが、多額の金を必要とする宇宙開発の世界ではそれが顕著になるのも確か。で、人間には途上国に対する蔑視、差別も確かに存在するのだな。クレアの言うとおり、「スタートラインにすら立たせて貰えない」
とは言うものの、例えば北朝鮮が作った宇宙服着て外に出てみろといわれたら全力で拒否するもんな。それが人間の現実ってもんで。
ふと思ったのだが、「イスラム教徒の宇宙飛行士」って現実にはどのくらいいるのだろうか?……と思ってググって見たらこんな記事が出てきた。
逆に言えば、2,007年に至るまで宇宙はイスラム教徒に解放されていなかったわけで。「宇宙はみんなのもの」と言いつつも実態はこんなものです。
結局、エルタニカは連合の武力侵攻を受け、テマラも連合に身柄を拘束されることになる。最後にテマラは地球を見ることを許され、地球の美しさに涙する。テマラが宇宙からエルタニカを見ていた頃、地上では凄惨な戦闘が続き、テマラの研究施設も破壊されていた……
地上と宇宙、美と醜、聖と邪が錯綜する見事な描写。これが原作にないオリジナル・エピソードだって言うんだからな。恐るべき、大河内一楼。
ところで、貧乏なはずのエルタニカで宇宙服開発の資金を捻出するのは難しかったはず。そもそも、「これといった産業がない」というのはまともな金融市場もないはずで、金貸してくれる当てがあるはずもない。こういった国でもっとも当てになるスポンサーは「政府」で、テマラの会社も政府が資金を提供しているのでしょう。恐らく、軍事利用を主眼として。
実際、工場を民兵らしき人が警備していたし。北朝鮮がテポドン発射を「人工衛星の打ち上げ」と強弁したのをみても分かるとおり、宇宙産業というのは軍事技術と密接な関わりがある。政府としてはテマラの会社にミサイルとか宇宙兵器の類を作らせるつもりで資金を提供していて、テマラはその一部を流用して宇宙服を開発していたんじゃないだろうか。「宇宙兵器のメンテナンスには宇宙服も必要なんです!」とでも強弁してね。
だから、連合の武力侵攻の時に真っ先に破壊されてしまったわけで。
北朝鮮でテポドンやノドン作っている連中も、テマラのように宇宙に夢と理想をかけて開発を続けているのかもしれないな……と、そんなことも思いました。









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